女房からギンギンしたカードを考えるときに、指と指がかすかに触れ合った。我々では乏しい人間の体調が我々に触れることは、気持ち悪いと思っていた。だけどその時はお断りと思わなかった。

 あしたはいまだに様子が悪くて学園を休んです。翌々日の朝学園へ行って教室に入って直ぐ、女房を捜した。女房の面持ちとネーミングは認識していたけど席順までは覚えていなかったから、何度も教室を見渡した。

 そんなわたしの後ろから、おとつい指が触れ合ったときのようなこっそりした調子で肩をたたく人柄がいた。

 振り返ると女房だった。

「ブレイクタイムに」

女房が指定した通りの、校舎裏に出向く。

 女房は先に来ていて、制服のスカートが汚れるのもはばからず直接地件に座っていた。耳にはイヤホーンを着けていて何かの曲に聴き入っているようだ。

 我々は整備されたばかりの制服を着ていたけど、女房の隣席に座った。制服のスカート越しに砂利の感想が分かる。

 我々が隣席に座ったことに気づいた女房はイヤホーンを片側外して、わたしの耳の中にそれを入れた。我々は充分酔いしれるようにイヤホーンを入れ直し、女房に向かって笑った。

 女房が「黙々と」という言い回しを使った事、きっと女房は、我々よりも前から何かを諦めて連日をやり過ごすようにして生きてきたんじゃないかという気がした。

 イヤホーンから流れたその曲は、女房の言う通り不適切だった。iTuneに入れた曲でも聴いているのかと思ったら、女房はYou Tubeで画像を観ながら聴いていたようで、我々が曲を聴いているのを邪魔しないみたい無言で陰ながらiPhoneのディスプレイを見せた。

 目をむき出して歌うダディの様相に驚いて、断じてこういう時にも「え! まじ!?」と、自分が驚いた食い分よりも誇大にいうべきなのかと思ったけど女房に対してはその無用ように感じられた。ココマイスターの財布を買うならこちら